4/10 海水温変化による震源域想定

◆1月末からの約2ヶ月半、
 ほぼ毎日続けてきた気象衛星画像解析による衛星画像(動画付き)」シリーズですが、
 結論から言えば、翌日以降の震源域との相関が結果として良くない事が判明しました。
◆これに代えて、

 本日より、海水温変化による震源域想定として、シリーズ化する事と致しました。
 これは、毎週末ご紹介している「海水温変化による震源域想定の検証と次の震源域について」
 と同じ解析を、至近1週間のデータで、翌日以降数日間の震源域を想定するものです。
 ※バックテストの結果、こちらの方が断然、良い相関であることを確認済です。
さて、4/1福島沖M5.9以降の有感地震は、それ以前(平均12回)の半分以下の日が続いております。
そして、本日も7回と、一桁台です。
なお、[Hi-netデータ] からは岩手・宮城・福島沖に加えて、茨城絡みが急増です。
では、今日までの海水温の変化です。(4/4-4/10)
an_diff.gif
この画像を差分処理してカラー化したものが以下になります。
温度低下20120410COLOR
上の動画と良く見比べてご覧いただくと、その傾向が次第に見えてくると思います。
(緑の線はプレート境界です)
◆北海道~関西まで、強震度を想定する震源域が数多くあります。
一見、太平洋側の温度上昇だけが大きい印象を受けますが、注意深く見ると
むしろ、日本海側の温度上昇の方が顕著である事が確認できます。
関西以西でも、伊予灘 ・日向灘~沖縄にかけて、強震度域が点在しています。
今日の注目は、
関東~東海~関西にかけて、ほぼ連続した強震度想定域です。
ここは、4/6先週末の想定には無かった震源域ですので、要注意です。
ここでの想定が、明日以降起こる地震の兆候を見ている可能性がありますので、
該当される地域の方は、一応の警戒をお願い致します。
◆ご承知の事とは存じますが、限られたデータから得られた情報です。
 参考程度に受け止めて下さい。
いつも同じ事ばかり言って申し訳ありませんが、
皆さまに於かれましては、引き続き今一段の警戒をよろしくお願い致します。
今日も大事を取って、これにて就寝致します。バイバイ


10 comments

  • 空っぽ果実

    SECRET: 0
    PASS: ff92a240d11b05ebd392348c35f781b2
    ご存知かとは思いますが、
    衛星画像にみられる大気重力波やさざ波雲、筋状雲や沸き立つ雲あるいは雲の吹き飛ばし等々の現象雲は、
    震源の位置を正確に予測するのに優れた情報になり得る一方で、
    その発信時期の予測においては現在どの程度切迫しているか見分けるのがとても難しいものであります。
    たとえば、2月8日佐渡M5.7地震の直前に出ていた現象雲は2月2日のhttp://j.mp/yhjPpb http://j.mp/xDicAq ですが、
    この地震の震央に近いものとしては2月2日のほかは、昨年10月15日、11月5日、11月15日、12月15日、12月18日、今年1月17日、1月23日と出ていました。
    (http://rapidfire.sci.gsfc.nasa.gov/imagery/subsets/?subset=Japan
    で該当する日付をいれて衛星テラおよびアクアの画像が見られます。
    Pixel size:500mぐらいを見ると詳細な画像で見られます。
    またChange vector options:coast+bordersを選択すれば、
    地図上に国境や海岸線などが表示されるので分かりやすいです。)
    このように現象雲は長期的スパンで発生し、またそれがどの程度切迫しているか分かりにくいものなのです。
    なお、2月2日の現象雲は通常の地震雲とは違いますが、震源にかなり近いことから、これは低気圧のような状態となって発生したものと考えます。
    発震時期の予測法としては、
    大気重力波の面積からマグニチュードを予測し、
    そのマグニチュードに応じて発震時期を予測するという方法もありますが、
    http://www.jsedip.jp/3-papers/2007/H19-5_SEMS_TBP_SAITO.pdf
    巨大地震が控えている場合には発震するまでの時期がながくなると言われていますし、
    また複数の震源がある場合に大気重力波がどの震源に対応するものなのか判断が難しくなるのではないかと思います。
    ちなみに、大気重力波というのはアインシュタインの言う重力波ではなく、
    流体力学における重力波が大気でおきる現象で英語ではatmospheric gravity waveという学術用語です。
    大気重力波の例として、昨年2月12日の東日本大震災の震央付近に発生した大気重力波をあげておきます。http://j.mp/tcgLPa

  • 空っぽ果実

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    PASS: ff92a240d11b05ebd392348c35f781b2
    衛星画像を使った地震の予測において、わかりやすい形で現象雲が発生している日があれば、
    震源域を予測するのは比較的容易です。
    震源域を予測する場合、大気重力波やさざ波雲よりも、筋状雲や沸き立つ雲や雲の吹き飛ばしやレンズ雲などを参考にするほうが良いでしょう。
    (大気重力波は発生源が絞りにくいため)
    たとえば、今年の3月14日の千葉東方沖M6.1
    http://www.jma.go.jp/jp/quake/3/20120314211624491-142105.html では、
    当日のアクア衛星画像http://j.mp/xSd2fw に震央に発生する沸き立つ雲と筋状雲として現れていました。
    また、上記の画像から判断すると、本当の震央は気象庁の推定とUSGSの推定http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/pager/events/us/b0008gvl/index.html の中間辺りとも思えるものでした。

  • 空っぽ果実

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    PASS: ff92a240d11b05ebd392348c35f781b2
    また、3月14日には三陸沖M6.8のアウターライズ地震
    http://www.jma.go.jp/jp/quake/20120314182127491-141809.html も発生しましたが、
    これも当日のテラとアクアの衛星画像に現象雲がみてとれます。http://j.mp/ydy1f0 http://j.mp/xSd2fw
    沸き立つ雲が震央の東と西に発生し筋状にもなっていて筋の集まる位置が震央位置に一致します。
    (USGSの推定の方がより一致します。http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/pager/events/us/b0008gs0/index.html )

  • 空っぽ果実

    SECRET: 0
    PASS: ff92a240d11b05ebd392348c35f781b2
    3月9日にも震源域周辺に沸き立つ雲と大気重力波が発生してます。http://j.mp/AwikbA http://j.mp/w6gyNh
    3月4日には、テラの方が分かりやすいですが、長方形に雲の吹き飛ばし部分が発生していて、その長方形の角のうち右上の角が震央に一致します。http://j.mp/z7A1Fc http://j.mp/xZqLvj

  • 空っぽ果実

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    PASS: ff92a240d11b05ebd392348c35f781b2
    このように衛星画像とくにテラとアクアによる高精細な衛星画像を分析することによって、
    この先発震する可能性がある震源域を予測することが出来るわけですが、
    もっとも警戒すべきはここ数ヶ月現象雲が頻繁にしかも持続的に出続けている房総沖でしょう。
    震央を三重会合点として、
    北は少なくとも茨城沖、南は北緯32度辺りまで滑る可能性があると思っています。
    (海底に巨大な活断層が二つ発見された場所とも重なります。http://netamesi.blog.fc2.com/blog-entry-164.html )
    南限を北緯32度辺りとしているのは、
    4月1日のテラやアクアhttp://j.mp/HBu4JL http://j.mp/HBudg5 など衛星画像の現象雲からの判断ですが、
    Hi-net自動処理震源マップhttp://www.hinet.bosai.go.jp/hypomap/ で
    日本全国広域で最新30日間をみると、
    北緯31.5度・東経142.5度の浅い震源の地震あたりがあって、現象雲の位置に近い。
    (一応以前撮ったスクリーンショットも載せておきますhttp://twitpic.com/94chvj )
    この北緯32度を南限として北限を北緯36度の茨城南部沖あたりまでとすると、
    444.4kmぐらいになりますから、宇津則でさっくりと計算すると2(log444.4+1.8)で約M8.9になります。
    北限が北緯37度の福島南部沖あたりまでとすると、555.5kmぐらいになりますから、
    2(log555.5+1.8)=9.089でM9.1近くまでになります。
    しかしHi-netで気になるのは、北緯26.5度・東経143度あたりの浅い地震のかたまりで、
    もしこれが南の端だとすると、1000kmぐらいの範囲がすべることになり、M9.2以上の可能性も出てきます。
    そこまで動くかどうかはともかく、非常に警戒すべき震源だと思います。
    他にもこのところ筋状雲が頻発している南西諸島などもちょっと心配ですし、
    釧路沖やいくつかの内陸の震源も気になる状況ではありますが、
    予想される被害の規模からすると一番懸念すべきは房総沖だと思います。

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    空っぽ果実さま
    いつも多くの貴重な知見を頂戴し、ありがたく思っております。
    特に、今回ご紹介戴いた、テラやアクアで見る雲の詳細な様子、鮮明さには驚いております。
    恥ずかしながら、その存在を存じませんでした。
    また、大気重力波(atmospheric gravity wave)という言葉が、国際的にも認められた学術用語であることも存じませんでした。勉強になります。どうしても、アインシュタインを連想し大袈裟に見えてしまうもので、疑似科学からの勝手な呼び名だとばかり思い込んでおりました。
    また、雲現象の長さ[Lkm]から地震規模[Mag]を宇津則 Mag=2(Log10(L)+1.8)により得られるなど、私には新しい知見ばかりです。失礼ながら、ここまで詳しく研究され、知見として到達するには、相当の期間と手間を要した事と思います。それを惜しげもなくご教授戴き、本当にありがとうございます。
    一方で、[色:0000FF]3/14日三陸沖M6.8のアウターライズ地震では、私の解析でも、当日まで明らかな雲の湧き出しを確認しており、M6~7クラスの地震には、雲の湧き出しを監視することで、位置の特定に有効である事も承知しております。[/色]
    ただ、空っぽ果実さまも触れておられる様に、実際の発震時期の特定には難しいものがあり、[色:FF0000]極端には数ヶ月前の遅延時間を持つものまであるとなると、私の力量では扱いきれない[/色]と考えた次第です。
    また、拙の他にも[色:0000FF]衛星画像の解析に長けている方々は、私が解析する前から、沢山いらっしゃる[/色]ようですので、私の出る幕は無いとも常々感じておりました。
    一方で、毎週末ご紹介している、海水温度変化による震源域想定においては、これまで[色:FF0000]1週間単位という大雑把な推定でも、ほぼ8割の正解率[/色]に達しており、これを毎日ご紹介する方が、[色:0000FF]短期予測に適している[/色]との考えから、気象衛星解析を離れ、今回から海水温度変化をシリーズ化した次第です。
    今回、[色:0000FF]ご指摘のあった房総沖の三重合点は、海水温度変化解析でも毎回震源想定域に入っており、私も継続監視している処です。[/色]
    では、なぜ海水温平年差の変化が次の震源域との相関が高いのかですが、
    拙の考えでは、[色:0000FF]海水温平年差の変化が、数日程度の遅延時間を以って、地殻の温度変化を表わしている[/色]と考えており、ご存知のように温度は分子運動量に比例するものですが、私の解釈としては、[色:0000FF]超高圧下の水は[/色]、その分子運動量が極度に制限されることで、温度が変化出来ず(実際に深海水温は4℃でほぼ一定)、結果として[色:0000FF]水の熱伝導度が金属並となり、地殻の温度変化がほぼ直接的な形で海水温の変化として現れる[/色]という様に考えております。
    今回は、色々な文献などのリンク先までご紹介戴き、本当に勉強になりました。
    空っぽ果実さまには、これからもアドバイスを頂戴出来れば幸いです。
    この度は、本当にありがとうございました。
    技術屋のBOPPOより

  • 空っぽ果実

    SECRET: 0
    PASS: ff92a240d11b05ebd392348c35f781b2
    宇津則は現象雲の長さではなく、
    ずれ動く断層の長さL(km)からマグニチュードMを推定する経験則です。
    log L=0.5M-1.8 (e,g.Utsu.1999)
    なので、現象雲の範囲がずれ動く断層の長さとは言えないわけですが、
    房総沖に関しては長期間出ているということやラドン濃度等からある程度厳しいシナリオを想定してのものです。
    もちろん結果大したことがなかったという事に越したことはありませんが。
    日本を大まかにカバーする範囲のテラとアクアの画像は
    先に上げたJapan Subsets
    http://rapidfire.sci.gsfc.nasa.gov/imagery/subsets/?subset=Japan
    で見れますが、沖縄など見れない範囲もあるわけです。
    そこで、より広い範囲は
    http://lance-modis.eosdis.nasa.gov/wms/
    で見ることになります。
    こちらはJapan Subsetsと違い歪みが補正されていませんのでやや見づらいかもしれません。
    (ちなみに他のサブセットはこちらで見られます。http://earthdata.nasa.gov/data/nrt-data/rapid-response/modis-subsets )
    なお、テラやアクアには可視光画像を再現するTrue Color以外に、
    7-2-1やNDVIなど異なる表示形式も可能です。
    7-2-1は雲の高さによって青く表示されますので、雲の高さごとに観察したい場合に役立ちます。
    また、テラやアクアに搭載されたMODISセンサーは海水面温度など様々な情報を得ることができるものです。
    日本周辺の情報を見たい場合にはJAXAのサイト
    http://kuroshio.eorc.jaxa.jp/ADEOS/mod_nrt_new/index.html
    日本に限らず見たい場合にはNASAのサイト
    http://oceancolor.gsfc.nasa.gov/cgi/browse.pl?sen=am
    をみるとよいと思います。

  • SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    空っぽ果実さま
    重ね重ね、ご教授いただきありがとうございます。
    宇津則についての解説、ありがとうございます。
    この法則が、ずれ動く断層の長さから導かれた経験則として考えた場合に、
    ずれ動く量(20mとか50mとか)には関係しないのか、少し疑問が湧きました。
    これも、ある程度は断層の長さに比例して大きくなるものとして、その効果も
    式に内在しているのでしょうかね。
    また、色々なリンクをご教授いただき、ありがとうございます。
    重ねてお礼申し上げます。
    本当に、空っぽ果実さまからの情報は、勉強になります。
    今後とも、どうぞ よろしくお願い致します。
    技術屋のBOPPOより

  • 空っぽ果実

    SECRET: 0
    PASS: ff92a240d11b05ebd392348c35f781b2
    統計的に関係を導き出した経験式ですから、
    モーメントマグニチュードの算出式とは異なるのだと思います。
    詳しくは宇津徳治先生の著書を参照してください。
    なお、断層の長さL(km)としたとき logL=0.5M-1.8 という式以外にも、
    断層面積S(km2)は logS=1.0M-3.9 あるいは logS=M-4
    断層のすべり量D(cm)は logD=0.5M-1.3
    などもあります。

  • SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    空っぽ果実さま
    何度も、ありがとうございます。
    勉強にになります。
    こらからも、よろしくお願い致します。
    BOPPOより

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