金環食でニュートリノが地球コアに作用するという説は?

笑顔 毎度のお付き合いをありがとうございます。
世間にはニセ科学という、ただ不安を煽るだけの情報が多い
その最たるものは、「金環日食過去にこれだけの大地震(日刊ゲンダイ)
-----以下、リンク先より引用—-
今月6日、米ケーブルTVチャンネルが、「日食と地震」の関係を指摘。
日食になると太陽から放射されるニュートリノが月のレンズ効果で増幅され、地球の核に影響。
その核に引っ張られた圧力波が地表に伝わるという。
ニュートリノが集中して降り注ぐのが、日食が見られる地域の軌道上だ。(つまり日本のこと)
仮に明日、日本で大きな地震が起きたら、この説を更に飛躍させて、
何でもいいから、また記事にして雑誌に載せるんだろうなぁ。
(この手の雑誌は、とにかく売れればいいから)

私もチョットだけ気になりましたので、
 そんなことが、果たして物理的に可能性があるのか検証してみました。

光は、何も無い真空中ならば、基本的に直進します。(ニュートリノも基本的性質は同じ)
(ただし、ニュートリノは、更に地球をも突き抜けて直進していきますが)
さて、アインシュタインの一般相対性理論では、太陽など大質量の近傍には重力場が存在し、
重力場は空間を曲げ、その程度に応じて、光(ニュートリノ)は曲がると理論的に予言しました。

後にエディントン(※)により、1919年の皆既日食で太陽近傍の星を観測し、実測で理論を証明。
(※)アーサー・スタンレー・エディントン(Sir Arthur Stanley Eddington)イギリスの天体物理学者
では、重力レンズによる効果量は、どの程度なのか、以下の図をご覧ください。
重力レンズ説明
数式の嫌いな方は、結果だけを見て下さい。
この式に、太陽の定数、M=2.0e30[kg] R=7.0e8[m]を代入すると、
θ=(4×6.67e-11×2.0e30)/((3.00e8)^2×7.0e8)=8.5e-8[rad] → (8.5e-8×180/π)
  = 4.9e-4[度] → (4.9e-4×3600秒) = 1.75秒角
1.75秒角って感覚的に判らないと思いますので、例えば 2.4km先にある1円玉の大きさです。
では、月ではどうでしょうか。
同様に月の定数、M=7.35e22[kg] R=1.74e6[m]を代入すると、
θ=(4×6.67e-11×7.35e22)/((3.00e8)^2×1.74e6) = 1.25e-10[rad] → (1.25e-10×180/π)
  = 7.2e-9[度] → (7.2e-9×3600秒) = 2.6e-5秒角 これは16万km先の1円玉の大きさです。
どうでしょう。 そろそろ、ニセ科学の正体が見えてきましたね。
 つまり、月の重力レンズ効果は、月の距離の約1/2に一円玉を置いた程度しか生じないのです。
 それから、重力レンズには、以下の様に、我々の身近にある凸レンズの様な焦点がありません。重力レンズ
もう、完全に「インチキ」だと言う事がお分かりいただけたでしょうか?
なお、これらの理論の詳しい説明は、「重力マイクロレンズ効果」のリンク先をご覧下さい。
では、また何か変化があれば、お知らせ致します。バイバイ


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