海水温変化による震源域想定の検証と次の震源域について(その99)
このシリーズも 第99回目となりました。
(シリーズ化からは約1年半以上続いており、M4超で1週間検証し 平均対応率は8割程です)
◆実は過去記事を検索すると、2011/8/17「新発見か?「海面水温」平年差の分布と震源地の関係」
の中で、既に海水温の2週間差分に着目しており、この解析は、もう2年を過ぎました。
解説:[海水温度分布★の平年差]の2週間の変化について、画像処理ソフトで差分を取り、
次の震源域を想定します。(14日間の至近3日平均からその前11日平均を差し引く演算です)
これまでの実績からは、温度変化の境界付近で温度低下側に震源が符合しております。
また、実績から、温度変化の大きな海域も想定域としております。
仮説:なぜ海水温変化で震源域候補が判るのか?
深海超高圧下の水は4℃一定(最大密度)熱伝導率は金属並みだと考えられます。
ならば、マントル上部の温度変化が海水温平年差にも現れるハズです。
実績から見て、その時定数(遅延特性)は数日~1週間と思われます。
実際、毎週の海水温解析の対応率は8割で、非常に高い相関が認められます。
★この演算には、以下の理由から海上保安庁のデータを使用しております。
・図中に数字や境界線が入らないので、演算の邪魔にならないこと。
・瀬戸内海も表示できるので、より綿密な解析が出来ること。
・当日分まで反映されていること。 等々
以下は、先週11/3ご紹介した震源域想定に、その後1週間の実績をプロットしたものです。
この間 M4超の地震は10回、うち5回が想定範囲内でした。対応率50%
外れた5回は、高温のまま変化の無かった海域での発震でした。
◆M4超の東日本集中度は9割でした。
◆さて、4ヶ月間も続く太平洋の高温域ですが至近は急激な低下⇔上昇を繰り返しており、
これは解析を始めてから約2年の中でも特筆すべき異常事態だと考えておりました。
そして、繰り返し「巨大地震の前兆を捉えている可能性」について言及しておりました。
皆さまご存知の様に、10/26 福島沖アウターライズM7.1の地震が発生した訳です。
また、今週は関東直下の想定に対して、本日11/10 茨城南部M5.5が発生しております。
◆先々週からの太平洋南東側の低温域は、複雑に入り組んで変化しております。
引き続き、注意深く観察を続けたいと思います。
そして、次の震源域の想定は、以下の通りです。
◆想定範囲を南西諸島まで拡大。西は西表島、南は南硫黄島まで
◆強震度想定域は、
北海道~東日本(含アウター)、関東、東海・伊豆諸島、南海、沖縄と広範囲です。
北海道は、東方沖のアウター側は先週から変化なし。
東日本は、青森東方沖~三陸アウター先週から変化なし。
また、宮城~福島は、沿岸~アウターに分離して先週とほぼ同様。
関東~東海は、直下域が関東~伊豆諸島と東海に分離してほぼ同様。
南海は、四国海盆はるか沖が若干の縮小方向。
南方は、沖縄~東方沖に大幅縮小。
大陸側、小笠原の強震度想定域はM4想定に弱まりました。
◆太平洋・日本海の広範囲な高温域は、沿岸付近では上昇したまま平衡状態。
(その他の範囲は、高温を保ったまま温度変化が無いため、黒くなっております)
三陸アウター・東日本域の強震度域消滅⇔復活は、何らかの大きな変化を捉えている可能性あり。
また、過去の実績から、急激な温度変化のあった海域では、低温側で発震の可能性が高まります。
解説:強震度想定域とは、
海水温が急激に上昇した範囲で、過去の実績からM5超発震の可能性がある事を意味します。
(橙線M4、赤線M5超を示唆)
では、また何か変化があれば、お知らせ致します。